最近日本国内においても、動画市場が盛り上がりを見せています。
通信速度の高速化やスマホの大型化・高画質化などを受け、
スマホで動画を閲覧することは勿論、
スマホでライブ動画を配信することが徐々に一般的なものとなってきました。
国内勢の代表格である「ツイキャス」は、ユーザー数が1,000万人を突破し独自の文化を形成していますし、
「Periscope」「Meerkat」に代表される海外勢も順調にユーザー数を伸ばしています。
インフラが整い、最適な端末が普及し、それに伴い各種サービスの提供が盛んになると、
各種産業に影響を及ぼすようになり、当然スポーツ界にもその波は波及します。
今回は『スポーツ × 動画』という観点から、
デジタルマーケティング全盛の現代における、
最も効果的なコミュニケーション戦略の一つである動画によるマーケティングについて考えていきます。
即出しハイライト
先日のエントリー「【2015年夏版】スポーツチームのデジタルマーケティング取り組み状況まとめ【国内編】」において、
日本スポーツ界随一のデジタルマーケティング力を誇る日ハムの事例から紹介します。
イマドキ試合の速報をSNSで行うことは当たり前になりつつありますが、
日ハムのアカウントでは要所要所のプレイを動画付きで紹介しています。
キターーーー!!!近藤の3ランホームランで1点差!!さぁ、しっかり守って次の回に逆転だ!!(F)4-5(L) #lovefighters #welovehokkaido https://t.co/HcM88yKTvR
— 北海道日本ハムファイターズ公式 (@FightersPR) 2015, 7月 11
(F)10-0(L)スイーーーープ!スタンドは4万を超えるラベンダーの大声援!この3日間、本当に大声援が選手の力になりました!明後日からもこの勢いを止めるな! #lovefighters #welovehokkaido https://t.co/q7027R5qPP — 北海道日本ハムファイターズ公式 (@FightersPR) 2015, 7月 12
試合を見ることの出来ないファンにとってSNSやスポーツメディアでの速報は大変嬉しいものですが、
テキストベースの速報だとどうしてもプレーを想像するしかありません。
オンデマンドで試合をライブで見られる環境も整いつつありますが、
日ハムのアカウントのように要所要所をこのように動画付きで見ることが出来るというのは、
隙間時間にスマホで動画を視聴する現代人にぴったりのスタイルかもしれません。
また、Twitterのタイムライン上で閲覧出来るというのもポイントで、
これがYouTubeにアップされている動画のリンクだとすると、
ユーザーにとっては遷移が増え、ここまでの利便性は感じないのでしょう。
スマホでライブ配信
#Periscope でライブ放送中 トリコロールランドの様子を配信中(´・Д・)」。ピカチュウもいるよ。#fmarinos https://t.co/FNOeRyp9vB
— 横浜F・マリノス【公式】 (@prompt_fmarinos) 2015, 7月 11
次は冒頭でご紹介した「Periscope」を用いた事例です。
残念ながら録画コンテンツを閲覧出来ないため、
どのようなコンテンツか現段階で見ることは出来ませんが、
こちらも日ハム同様先日のエントリーでデジタルマーケティングの活用が光った横浜Fマリノスが取り組みを始めていました。
筆者も上記Tweetからライブ配信を見ましたが、
試合前のスタジアムの様子をスマホで撮影・ライブ配信していました。
(筆者が閲覧していたタイミングでは50人ほどの視聴者数でした)
難しい部分も大いにあると思いますが、、、
スマホによるライブ配信サービスのポイントのひとつにインタラクティブ性があるのは間違いないので、
ユーザーからのコメント投稿を促し、
配信者(名物スタッフやクラブOB、あるいはベンチ外の選手を起用したり?)とのコミュニケーションが簡単に取れるようになると、
「スマホでライブ配信」しているメリットがもう少し出てきそうな気がします。
コラボ動画の可能性
上記でご紹介した2つの事例は顧客エンゲージメントの意味合いが強いと思われますが、
強固なリレーションを築くことの出来るコンテンツはとても価値が高く様々な展開が可能になります。
弊社が運営する大学スポーツメディア「CSPark」では、
ストリートボールブランド「ballaholic」とコラボレーションし、
大学バスケの特集動画コンテンツを制作しました。
「THE BEST OF ballaholic」と題したこの企画は、
関東大学バスケットボールの大会において、「ballaholic」のブランドイメージと重なるようなプレーを幾つかノミネートし、
ノミネートプレーの中から最後にブランド担当者による「THE BEST」を発表するというコンテンツです。
【THE BEST OF ballaholic ノミネートプレー⑦】中央大学2年 柿内 輝心選手(PG/172cm/北陸高)がvs青山学院大学で見せた緩急をつけるヘジテーションムーブで相手を抜いてからのスクープショット‼︎ pic.twitter.com/9USAm9RtZr — CSParkバスケ班 (@CSPark_basket) 2015, 5月 29
TwitterやInstagramでノミネート動画をこのように配信し、
最終的にこちらのプレーが選ばれました。
この企画は約40万回の再生回数を記録し、
リツイート・お気に入り・LIKEの数は10,000を超えるなど、
アマチュアスポーツであるカレッジスポーツとしては異例のヒットコンテンツとなりました。
企画趣旨やコンテンツの内容、
そして流通経路の最適化などにより、
アマチュアスポーツでもデジタルマーケティングにより、
相応の結果を出すことが出来るという弊社にとっても大きな事例となりました。
スポーツと動画の行方
現代のスポーツビジネス(特に連盟やリーグ・チームビジネス)は、
巨額の放映権料収入のものに成り立っていますが、
ファンのメディアに対する接触頻度の変化・視聴環境の変化により、
そう遠くない将来に産業構造が大きく変わっていく可能性があります。
動向に敏感なNFLが、「Chief Contents Officer」という職を設け、
コンテンツマーケティングを強化していくという情報も出たりしています。
【参考記事】コンテンツマーケティングの最先端、米国で注目の『CCO』とは?(ZUU ONLINE)
スポーツ情報は、
ライブ>動画>写真>文字の順番で魅力の伝わり方が変わっていくと思いますが、
動画によりスポーツを楽しむという当たり前のことが、
デバイスや通信環境の変化により、ここにきてその手法に大きな変化が出てきました。
動画をただ制作するだけではなく、
適切に流通(視聴環境の最大化・最適化)させること、
そして最終的には収益へと繋げる方法を上手く見つけることが出来るようになれば、
この市場が今後も益々盛り上がっていくことに疑いの余地はありません。