白紙に戻った新国立競技場。
今年の秋までには整備計画をまとめ、年明けから着工するというスケジュールでリスタートとなりました。(『NHK NEWS WEB』より)
国家的ビッグイベントである東京オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムですので、
スタジアムのデザインに求められる要素は様々でしょう。
廃案となってしまったザハ氏のデザイン案に対しては、
「スポーツの躍動感を思わせるような、流線型の斬新なデザインである。(中略)。強いインパクトをもって世界に日本の先進性を発信し、優れた建築・環境技術をアピールできるデザインであることを高く評価し、最優秀案とした」(『新国立競技場デザインコンペ審査講評』より)
とあるように、そのデザインについては高く評価されていました。
秋までに新整備計画がまとまるということなので、
これから新たなデザイン案がどんどん上がってくると思いますが、
「どんな形か」の議論は超重要として、それと同じくらい「何が出来るのか」も超重要なのでは、と感じています。
実際スタジアムの中に入ってしまうと、その外見よりも、いかに快適にエキサイティングにスタジアムで過ごせるかの方が気になるのではないでしょうか。
つまり「体験」こそが顧客満足度を高める最重要ファクターになるのです。
そんな、「体験をデザインする」新国立競技場デザインになって欲しいという願いも込めて、
ユーザー目線で「#新国立出来たらいいなこんなこと」を挙げていきます。
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▽スポーツの試合観戦に関すること
・サクサクとネットに繋がること
>>>Wi-Fi環境を整え、不自由なくインターネットにアクセス出来るのは大前提。
・座席で充電出来ること
>>>充電の不安なくスマホ使えると良いですよね。
・ペーパーレスで入場出来ること
>>>確認の時間も掛かるし、取り出すの面倒だし。。思い出に残したい方はプリントアウトすれば良し。(参考:『Goodbyeペーパーチケット。49ersが取り組むチケット革命。』)
・マルチアングルカメラによるライブ映像を見られること
>>>どう頑張っても視力の限界はあるので逆サイドの映像は手元の端末で見られると良いかも。
・即時にアップされるハイライト映像を見られること
>>>ゴールシーンや際どい判定のプレーはスタジアムでもハイライトをちゃんと見たい!
・リアルタイムでスタッツを知れること
>>>より試合を楽しめる材料ですしね。
・トイレの混み具合を知れること
>>>混雑具合を座席からチェック出来れば無駄な時間を短縮可能!
・フードやグッズショップの混み具合を知れること
>>>同上。
・フードやグッズを座席まで出前して貰えること
>>>点が入った瞬間なんかにプッシュ通知すれば売り上げめっちゃ上がりそう。単純に席に持ってきてくれるだけでも相当有難い。
・スタジアム外の店舗から出前を届けて貰えること
>>>近隣店舗のお弁当などをスマホで注文してスタジアム内まで届けて貰うことが出来れば場内の混雑解消・スタグルの選択肢増でかなり嬉しい。
・キャッシュレスでの決済が出来ること
>>>わざわざ現金を取り出さないでも決済可能。外国人観光客も両替せずにOK。
・ARやデジタルサイネージを活用しての案内看板が翻訳されること
>>>特に震災時の対応などシリアスな場面を想定すればするほど必要かな。
・最寄り駅から座席までの経路をアプリが教えてくれること
>>>リアルタイムで道路の混雑具合を取得し、最短で入場出来るゲートとか教えてくれると凄い嬉しい。逆に帰りは近くの居酒屋教えてくれるとか。
・暑さ寒さを気にせずに過ごせること
>>>初歩的だけど一番大事かも。
・超快適に過ごせる座席に座れること
>>>座席の温度調整が出来たり自分に見やすい角度に可動出来たり、抜群の座りごごちを。
・空席探しに彷徨わなくても良いこと
>>>センサーで人が座っているか否かを確認出来るようにすれば余分な場所取りも無くなるかも?
・ピッチの中から記念写真を撮って貰えること
>>>思わずSNSに共有したくなるような写真が撮れそう。(参考:『スタジアムにいる自分を探せる?米スーパーボウルの「Fancam」が凄い』)
・新国立限定のオリンピック名シーンコンテンツを見られること
>>> 閉幕後は新国立に行くと2020の名シーンがエリア限定で見られたり。
・ARで選手情報や今何が起きているかを知れること
>>>スマホをかざしたり、メガネ型端末で選手を見ると、選手名が表示されたり、選手のスピードが分かったりすると楽しそう。(参考:『ウェアラブル端末が拓くスポーツビジネスの未来』)
・スタジアム自体もファンとインタラクティブにテンションが上がっちゃうこと
>>>例えば、、ファンの声援量やSNSへの投稿数に応じて スタジアム内のデジタルサイネージの色が変わるとか、音楽が掛かってくるとか。(参考:『レッドソックスの自撮りキャンペーンから考えるスタジアムの価値』)
・選手の心拍数や息遣いを聞けること
>>>選手と出来る限り距離が近いスタジアムというのは良いスタジアムである条件の一つだと思う。
▽試合観戦以外で楽しめそうなこと
・スポーツミュージアムで歴史を学べること
>>>ベタですが。
・スポーツスクールでスポーツの練習が出来ること
>>>2020出場選手が先生になったりすればセカンドキャリア問題解決の一助に?
・日本文化を体験出来ること
>>>カルチャースクールのような感じでスタジアム内においても外国人の方に沢山日本文化を知って貰えると良さそう。
・伝統工芸品を作れたり買えたり出来ること
>>>これも上に近いですが、日本文化に触れて貰えるような場所があると良いな。
・47都道府県のアンテナショップで買い物が出来ること
>>>外国の方だけでなく日本人にも嬉しいサービス。
・国際会議の出来る会議室でビジネス利用も出来ること
>>>エンタメ利用だけでなくビジネス利用も視野に。
・スタジアムに泊まれること
>>>ホテルを併設する、あるいはVIPルームに簡易宿泊機能も備付けるなどして思い出を重層化。
・スポーツバーでゆっくりお酒を飲みながらスポーツを語れること
>>>過去のスポーツ名場面を見ながらお酒飲める場所があるなら毎日行く。
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などなどなど。
スタジアム側とは直接的に関係ないことも幾つかあるかもしれませんが、
こんな体験をすることが出来ると「新国立競技場楽しかったな!」と思ってくれる人が増えそうです。
新国立競技場が建設される神宮外苑は東京有数の好アクセスを誇る場所です(ということは日本有数)。
オールジャパンの魅力が結集した、日本観光の中心地になるポテンシャルも持ち合わせているでしょう。
(現に筆者は海外に行くと例え試合が無い日でも必ずその都市のスタジアムに行っています)
「日常の中の非日常」になることが出来た場所は、様々な娯楽がある現代において限りなく勝者に近づきます。
新国立競技場に行くという選択肢が、遊びの選択肢の中に常にあるくらい日常的なものでありながらも、
一歩スタジアムに入ると、そこでは非日常体験が出来る。
新国立で開催されるコンテンツと共にそんなUXデザインをすることが出来れば、「負の遺産」になるようなことは有りえないのではないでしょうか。
総工費が(常識の範囲内で)どんなに高くなろうとも、
結局新国立がめちゃめちゃユーザーに愛される場所になれば、
その投資に対するリターンは十分にあるはずです。
このとき、一番ポイントとなるのが「来場者のユーザーエクスペリエンス(UX)」。
「体験」こそが顧客満足度を高める最重要ファクターになるはずなので、
ぜひUXに関する議論も、今回世の中を巻き込んで起こったUIに関する議論と共に、加速させて欲しいと思っています。
届くか否かは未知ですが、良いアイディアを結集したいですね。
新国立競技場でこんな体験が出来たら良いなってことがあれば、
ぜひ「#新国立出来たらいいなこんなこと」を使ってSNSなどに投稿をしてみてください。
別にハッシュタグは何だって構わないですし、やり方はどうだって良いのですが、
せっかく白紙に戻ったのであれば、もう一度国民が新国立競技場作りにポジティブな感情を持って取り組んでいけるといいですね。